2015年5月号 特集 「メーカーから見た通販の可能性」

食品メーカー系通販の元気がいい。開発力はもちろんのこと、マスマーケットのなかで培ってきた営業力というダイレクトの世界で生きてきた者とは異なる「強み」を活かして業界を牽引している。その代表が味の素だろう。100年にわたって人々の「おいしさ」を支えてきた一方で、栄養、美容、医療、バイオと幅広い事業展開を行い、今やアミノ酸分野では世界トップクラスのシェアを誇るリーディングカンパニーの顔もある。そこで今回は、通販事業の立ち上げにも関わり現在はA-ダイレクトの社長も務める鈴木信二・味の素株式会社執行役員に、「食」の総合メーカーが通販にどのような可能性を感じ、どこへ向かおうとしているのか聞いてみたい。

 

味の素株式会社 会社概要

本社◎東京都中央区京橋一丁目15番1号
HPアドレス◎ http://www.ajinomoto.com/
創業年月日◎1909年5月20日
設立年月日◎1925年12月17日
資本金◎79,863百万円(2014年3月31日現在)
従業員数◎単体3,398名 連結27,579名(2014年3月31日現在)
決算期◎3月31日

 

■通販参入の経緯―健康社会を目指して

「おいしさの時代」から、次の100年は「健康」に注目が集まる

―まずは通販参入のきっかけからお伺いします。

鈴木 そもそものところからお話をすると、2002年から遡ること半年前、役員の合宿があって健康事業を立ち上げるという話になりました。味の素は20世紀を「おいしさの時代」ととらえてやってきました。「ほんだし」、スープ、マヨネーズなどいろいろな製品がありますが、根っこにあるのはMSG(MonosodiumGlutamate:うまみ調味料)と、飲料で広く使われているアスパルテーム(甘味料)という2つの素材をグローバルに長年販売してきた。 そしてその素材が、味の素を長く支えてきた、という自負がある。更に、グローバルな素材だからこそ、“安全”ということにこだわってきた。 その100年が終わって21世紀を見据えると、次の100年は「健康」というものに非常に注目が集まるだろう。そこでヒトでの機能性、安全性が担保されたグローバルに価値のある素材と、それを利用したサービス、事業を立ち上げろ、と、技術系やマーケッターなど多分野の社員が集められて部ができました。初期メンバーは5人で2002年に健康事業開発部が立ち上がりました。その後3年ぐらいは事業モデルの研究や、カプシエイトやグリシン、シスチン、テアニンなどの素材研究をしていました。いわば健康事業関連のスタッフ部門のような存在でしたね。そして、様々なアイデアを、グループ会社の事業部門や、当社内の様々な事業部門に紹介し、何とか事業化してくれないか、ともちかけるのですがどこも話に乗ってくれない。 もうヘトヘトになって当時の上司に「事業部の壁が厚くて歯が立たない」と報告をしたら、「いいねえ、事業部が強いのは自分たちで事業を立ち上げているからだ。お前も自分で立ち上げて実績を作った後に、素材を使ってもらえ」とアドバイスされましてね。それと並行して外部コンサルとビジネスモデルの研究をしている時、通信販売の仕組みを初めて勉強したのですが、そこでいわゆるライフタイムバリューというものが非常に大きいことにびっくりしたんですよ。わが社は「ほんだし」や「クノールカップスープ」などよく知られたブランドを持っていますが、世帯当たりのそれぞれの製品のライフタイムバリューは1万円に及びません。通販となると一人で年間何万円もお買い上げになる方もいる。特にサプリメントの場合は「リピート通販」というものがそのような構造になっていることがわかって、こういう信頼で深く太く繋がっているビジネスモデルがあるのかと衝撃を受けたんですね。それに加えて、私自身が知らない化粧品やサプリメントのプレイヤーが多くいるのにも驚きました。あまりにも勉強不足ではありましたが。当時、私はまだ40代でしたから健康意識という点では希薄だったかもしれません。カゴメさんのような食品メーカーも頑張っておられて感心しました。折しも他メーカーも参入して市場も伸び始めている時でしたので、我々もチャレンジしてみようと思ったのがきっかけです。それが2003年ごろで2004年に準備開始。2005年に発売したという流れですかね。もういい思い出ですが、通販をやると宣言した時、カタログ通販でアジツウという事業を過去にやって失敗していますからどうしても社内からは批判的な声も多かった。あの時とは違う、もっとユニークな事業を立ち上げると、説明に追われたのをよく覚えていますよ。

拡大するチェーン居酒屋ではなく「銀座の高級クラブ」を目指す

―通販に参入してみて最も驚いたことは何ですか。

鈴木 それまで私がやっていたのは主に「クノールカップスープ」やマヨネーズなどの営業やマーケティングです。事業部時代は消費者調査を頻繁に行ってきました。調査票の結果を読むと、お客様の笑顔が見えるという自信みたいなもの、そんな感覚があったわけです。調査票の中にある「好き」とか「美味しかった」という言葉や、いわゆる統計的に処理したデータで製品を語っていました。それが通販の場合、がらりと変わったんです。例えば新製品を発売する。新聞に広告が掲載される。すると、リンと電話が鳴り始める。受話器を取ると様々な年齢の方から様々な地方の言葉で問い合わせがある。自分の母親位の方からも電話がある。 こちらが注文をいただいているのに、お客様から丁寧に「誠にありがとうございました」と丁寧な礼を言われる。驚きました。消費者調査に"お国言葉"は伝わってこない。つまり、私がこれまで見ていたのは、店舗のレジを通ったPOSデータであって、「食卓での笑顔」ではなかったということに気づかされました。お客様に直接叱られるという経験もなかったですからね。 一般の流通では、食卓での家族の評価、美味しいか・まずいか、高いか・安いか、便利か・不便か、また安全か、など多分4つくらいの要素で評価されたものが、結果、母親の購買行動を決定し、POSデータとして表れてくるんだと思います。ある種静的なデータと思います。通販は電話一本で、一人一人が違ったしゃべり方で、それぞれの言葉でお話をされます。「何十年ぶりによく休めた、ありがとう」と涙ながらに感謝される、「全く効かない、高い、返品したい」などお叱りを受ける、そんなお客様の反応がダイレクトに入ってくる。そこにも衝撃を受けましたね。

―ある種のカルチャーショックですよね。

鈴木 ええ。ただ、よくよく考えてみたら、我々マスマーケティングも、量販店様、卸店様というお客様と向き合って長く大切にお付き合いさせていただいてきたということもあらためて気づきました。例えば、国分株式会社様とは100年のおつきあいをさせていただいていて、そこには一流の営業を担当させ何かあれば駆けつけるという信頼関係を築いて、一緒に良い製品を市場にお届けするということをずっとやってきた。そういうCRMの観点でいうと、マスもダイレクトもRFM(recency:最新購買日 frequency:累計購買回数monetary:累計購買金額)みたいな考え方ではまったく同じですよね。もちろん、量販店様、卸店様もダイレクトとは違いますが、お客様は誰であるかという違いだけで営業の基本は一緒だなと感じました。ただ、始めてから2~3年するとやがてマスマーケティングよりもダイレクトの方が少しだけお客様に対して丁寧な対応をしているという印象を持ちました。もちろんマスとダイレクトは対立概念ではありませんが、後者の方がサービスやお客様対応をより大事にしているイメージがあって。だから私は通販を「銀座のクラブモデル」などと呼ぶんです(笑)。チェーン居酒屋の水割りは500円ですけど、銀座の高級クラブなら2000円から3000円はしますよね。同じ物でもサービスとか雰囲気でこの差が出ている。チェーン店はサービスを安く提供し、どんどん拡大しますが、高級クラブは1店舗しかない。私の考える通販もそうなんです。もちろん製品が真ん中にあるんですけど、それに加えてユニークで他にはないようなものを提供して価値を高めていく。だから拡がらなくても続けていくことができる。そういうリテンションで成り立っているという意味では、京都という町をイメージしてもらえばわかりやすいかもしれません。京都で学生時代を過ごした方に聴いたことがあるのですが、学生だけでスナックで大騒ぎをして、帰り際にお勘定をお願いしたら「さっきの旦那さんが払ってくれましたよ」と、その方は「大人になったらあなた達が若い人にお返ししてくださいね」と言い置いて帰ったそうです。拡大はしないけれど、そういうことが繰り返されて京都の独特の文化と価値をつくっている(笑)。夜の話が多くて恐縮です(笑)。通販もこれに近いものがあると思う。これは言い過ぎかもしれませんが、気持ちとしてはルイ・ヴィトンみたいな感じでやっています(笑)。

■通販の可能性―メーカーの視点

お客様、臨床現場、開発の声を同列に扱う「学術広報会議」が拓く素材の可能性

―参入して顧客の声をダイレクトに聞けるようになったことで、商品開発やサービスは何か影響を受けたのでしょうか。

鈴木 そうですね、お客様の声からアイデアをいただき広告に繋げたりとか、あるいはお手紙を出したり市販後調査を行ったりという他社さんがやっていることは大体やっていると思いますが、当社の場合の特徴ということで言えば、研究者の声とお客様の声を同列に扱っていることでしょうかね。例えば、タンパク合成を強化して筋肉をつける素材を利用した製品がありますが、ある時当社の役員から、「1時間歩くと必ず痛くなった筋が、飲み始めて数日したら痛くないんだよ」って言われたんです。さらに同じタイミングで同僚に、同じ製品をプレゼントしたら彼のお母様の膝痛が治ったとも言われた。これは何かあるぞと研究者にいろいろと調べてもらったら、どうやら炎症を緩和する可能性があることが示唆された。それを開発現場にフィードバックして新しい機能を検証し商品を強化してゆくことができる。また睡眠の質を良くするアミノ酸グリシンは睡眠の効果を上げることで成長ホルモンの分泌が促進される、寝る子は育つということですね。元気になった、なんだか調子が良い、こういう声も実はお客様から最初に出てくる。

―お客様の声が、顧客対応の改善や開発のアイデアになるというのはよくありますが、こちらでは研究現場の新しい仮説に繋げているわけですね。

鈴木 その逆もあるんですよ。例えばカプシエイトを与えたネズミは良く走るようになるというデータがあります。そこでログを振り返ってみると、カプシエイトを摂取したお客様から「朝から元気で、お掃除がはかどる」という声が出てくる。研究開発とお客様の声の行き来で、新たな仮説が生まれたり、仮説の検証を促進したりというサイクルができつつある。だから、うちの研究者はコールセンターに行きたがるんです。先日も20人ほどがコールセンターを訪れたと聞いています。1日約1000を超える対話ログがありますので、その中で自分の仮説に繋がる声を拾いたいという欲求があるんです。なかには1カ月に2つしかないようなコメントをぽんと引っ張ってきて「こんな可能性もありますよ」と目を輝かせる熱心な研究者もいますよ。自分が出した商品がどう評価されているのかも含めて、本当に熱心な研究者はお客様の近くまで行きたいということですよね。

―医療用食品でも同じようなサイクルが生まれているのでしょうか。

鈴木 もちろん、臨床の先生たちも我々には「お客様」です。例えば、タンパク合成を強化し筋肉をつける製品を、ゼリータイプとして医療食で出しているのですが、これを使っている臨床のお医者様からは本当にいろいろなアイデアが出てくる。もともとはリハビリに使ってもらおうと思って開発したのですが、周術期の栄養補給に使うとか、癌の化学療法時に食事を受けつけない方に栄養介入として使えないかなど。我々にはなかった発想です。このような臨床現場(お客様)の声を研究に繋げようと考えまして、2~3年前から「学術広報会議」というものを開いています。お客様の声、臨床の先生、研究所のネタを同列に扱いひとつにすると、いろいろなアイデアが出てくるので、これを次のステージに上げようという取り組みですね。

「インサイドセールス」を強化してリアルな営業が回る道筋を付けるBtoBへの応用

―このほかに何か新しく取り組んでいらっしゃるものはありますか。

鈴木 当社は「クノールカップスープ」のトウモロコシを、契約農場で作っていますが、その穫れ立てのとうもろこしを数年前からプレゼントするキャンペーンを行っています。昨年冬はクノールブランドのプレミアムなスープを通販で試売してみました。この2つの取り組みが何を意味しているのかというと、我々のお客様は、味の素のファンでもあるはずなのでもっと食品も提案したいということですよね。ただ、マスでやっているものを売るわけにはいかないので、やはり通販用の商品として開発して、お客様に喜んでいただけないかなということは考えています。それからもうひとつは、新しいコールセンターのあり方を模索しています。 我々は医療食やAICS(アミノインデックスⓇがんリスクスクリーニング)などのBtoBの事業も展開しており、いわゆるコールセンターではなくて、あと一歩前に出るコンタクトセンターで、インサイドセールスとしての機能を強化できないかと模索しています。

―つまり、既存顧客に対して積極的にコンタクトしていくということでしょうか。

鈴木 そうですね。今は通販の中でのお客様のリストに対してアウトバウンドする、という活動中心ですが、別の医療食やAICSの事業には、営業マンというアウトサイドセールスもいるので、彼らと一緒にインサイドセールスを仕掛けていくことができればいい。アウトバウンドでお客様のテレアポを取ってくるというよりもう少し営業現場に近い感じです。リアルな営業が回訪すべき優良顧客を抽出する、様々な問い合わせにも瞬時に対応できるような役割とでも言うんでしょうか。要するにコンタクトセンターを新しい営業の武器にできないかなということですね。例えば、うちには「アクアソリタ」という経口補水液がありますが、建設現場や鉄工所などでそういった製品のニーズ市場がある。我々にはそのチャネルがないのでリアルな営業ではアプローチのしようがない。通販をというよりその通販の機能を使って会社に貢献するような仕組みをつくりたいですね。

―海外展開はいかがですか。

鈴木 もともと健康機能を持つグローバル素材を開発せよという経営の指示に対して、国内で通販を選択したのはお話しした通りです。その時代にまず米国に渡って調査を開始しまして、2007年以降には専門スタッフを送って東海岸北部のボストンやニューヨークから始めようとフィージビリティスタディ(実行可能調査)を開始しました。ここは西海岸と違って非常にタフな市場という結果も出て、通販やドラッグストアなど様々な可能性も検討いたしましたが、最終的には減量クリニックにターゲットを絞りました。理由は我々のエビデンスを高く評価してくれたことに加え、当時で既に20万サイトあると言われていた有望な市場ということもありました。グリナ、カプシエイト(米国名はGlysom、CAPSIATE NATURA、CAPSIORIN)を投入して、セミナーや学会への参加、医者を招いたディナー勉強会など地道に販促活動を続ける過程で大手のクリニックチェーンと出会ったのが大きいです。販売が安定して、まだ規模としては小さいですが着実に売上げを伸ばしており、西海岸の クリニックチェーンのLINDRAではBEST SELLING SUPPLEMENTにも選ばれるまでに成長してい ます。

―食品の機能性表示制度については進めていきますか。

鈴木 社内の機能性食品表示に関する審議会でいろいろ議論がありましたが、4月いっぱいかかり何品かをようやく届出したところです。

■通販の今後とJADMAへの期待

コールセンターの対話ログを生物学の視点で解析したら

―今の通販業界を見てどのような印象を抱いていますか。

鈴木 リアルな流通とEコマースの関係はどういう風になっていくのかということには非常に興味がありますね。全米で4,000店舗くらい展開していて、サプリメントなどでも有名なGNCという大手ドラッグストアチェーンとAmazonさんを比較する論文をちょっと前に読んだのです。ある種、社会科学的な内容だったのですが、その論文ではAmazonさんが勝つという結論になっていました。確かに日本でも流通大手がECに参入してメーカーより販売プラットフォームの方が強くなっている印象はありますし、そのようなプラットフォームも独自コンテンツが増えてきている。Amazonさんもいずれメーカーの様なモノづくりに取り組むと思うんですよね。このように「販売プラットフォームをもつメーカー」が増えた時に、我々のような単独でやっている単品通販的なものはどうなっていくのかというのがありますよね。例えば「アミノバイタル」は自社ECでも販売し、Amazonさんでも販売していただきドラッグストアさんでも展開していて非常に販路が複雑化してきましたね。こういう状況に直面しているメーカーは多い気がしています。我々としては、例えば大手のプラットフォームと互いにいい形で組むことはできないのかなとか、その巨大なECの中でオムニチャネルができたら面白いんじゃないかなとは思いますね。ただ、そこにリアルが入ってくると少し複雑になりそうですが。また、オムニチャネルという概念ひとつとっても、先ほどのような流通大手のいうオムニチャネルとメーカー側の考えるオムニチャネルは違います。こういう課題については非常に関心があります。

―通販ビジネスの今後の展望ということで言えばいかがでしょう。

鈴木 最近ではコールセンターの「分析」の可能性をよく考えていますね。きっかけは「グリナ」とか「カプシエイト」をつくった先生に2005~2006年頃言われた「鈴木さん、Webって生物学と似ているからおもしろいね」という言葉です。つまり、細胞もWebサイトも、良いのも悪いのも出てくるけど最終的には良いものが残るというのが生物学と一緒だというのです。確かにサイト同士の関係性は、細胞のクロストーク、アポトーシスや再生というように、なにか重なってくる。その言葉が妙に頭に残っていたところに、大手のコールセンターに音声データの中の言葉や、音程の関連性とサービスのコンバージョンの研究をしているチームがあると耳にしたんです。だったらコールセンターに毎日上がってくる数千件の会話ログを、生理学的な研究と同様に、そういった研究者の手法で、データマイニングしてみたらそれまでとは違う結果が見えてくるかもしれないと思ったんですよね。それで1~2カ月前、「グリナ」をつくった研究者と酒を飲んでいる時にその考えを告げたら「鈴木さんたちのところで解析するよりも、僕らの方ができると思いません?偏差値も高いし」なんて冗談を言う(笑)。でも、確かに一理あるということで進めようとしてるんです。どこの通販会社もやっていると思うのですが、従来のログ解析より先の深さが必要になっていますね。我々はまだまだ小さい規模の事業なので、緒に就いたばかりですが、更に、お客様の深いところを知るためにもう一歩踏み込まないといけないと考えています。当社ではあなたは技術系、あなたは事務系という風に分けられます(笑)。研究担当とマーケティング担当という風に分かれています。でも、その技術系の人たちが研究室を飛び出してどんどんコールセンターや顧客分析に入ってくるというのは非常にうれしい動きですよね。

外部コンサルも驚いた「用賀モデル」の実力

―そのような取り組みと合わせて、先ほど伺った「学術広報会議」のように研究者とコールセンター、現場との交流が盛んな印象です。何か秘訣はあるのでしょうか。

鈴木 どこでもやっていると思いますが、忘年会などですよ。最初は我々とコールセンターと広告代理店くらいしか参加者がいなかったのですが、数年前、もっと我々の仲間は広いはずと感じて、情報システム会社、物流会社、研究所の担当者、この事業にかかわる人たちを呼んで酒席で語る。もちろん最初からうまく馴染んだわけではありませんが普段会えない人たちと交流することが強いチーム力を生むという確信を持ちました。ただ、そういうことを続けていくうちに一緒に議論した仲間になって、それぞれの持ち場にも遠慮しないで入ってこられるという関係になっていったという感じですね。特に何か秘訣あったわけではありませんよ。

―あとコールセンターのお話が出ましたが何名くらいの体制ですか。

鈴木 全部で百人強ですね。外部の会社にお願いをしていますが、立ち上げからお付き合いさせていただいた会社なのでお互い信頼関係もある。当初はインだけのソフトなコールセンターだったのをアウトもできるような強い会社へと一緒に成長してきたという感じで思い入れもあります。世田谷の用賀にあるのですが、場所も良いし働いている地元の主婦の方たちのレベルも非常に高い。バブル時代に銀行でバリバリ働いていたという女性、サービスのプロである国際線に勤務していた女性など能力の高い方も多くて、定着率も高い。一度外部コンサルに見学してもらったら大変高く評価していただきました。コールセンターといえば「沖縄モデル」というんでしょうか?「用賀モデル」というのもこれは成立してますね、大事にした方がよいですと。おきれいな方も多いんですよ(笑)。

―それは研究所の方たちも行くのが楽しみですね。最後にJADMAに対してご意見・ご要望等があればお願いします。

鈴木 JADMAさんが学術的な研究などを後押ししたり、通販というモデルが、消費経済の中でどういう意義があるのか、お客様の満足が他のチャネルとどう違うのかなど、学術的なアウトプットを協会自身が検証し、成果として外にアピールしてゆく、あたりを期待したいですね。通販業界としても自分たちで様々なエビデンスを持つということが大事なんだろうと思います。個人的には、通信販売という言葉が少し古い感じがしますので、何か新しいお客様にとっての価値をベースにした新しい言葉、このビジネスモデルを定義するものが必要な気もしています。

―本日はお忙しいところ、ありがとうございました。

鈴木 ありがとうございました。

 

 

 

 

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