ポイントがいきなり“ゼロ”になっていた!

はじめに
私たちが日常的に利用するポイント・クーポン・ギフト券などには、多くの場合「有効期限」が設定されています。今回は気づかない間にポイントが失効していたという“悲劇”の事例を紹介します。
相談事例
いつも利用しているサービス。ポイントに期限があるとは思わなかった
電子書籍購読サービスを利用している。いつもはスマホの「アプリ版」を利用しているが、「Web版」限定のお得な「ポイントキャンペーン」をやっていたので、初めて「Web版」にチャージ(ポイント購入)して利用することにした。しばらく利用していると、ある日ポイントが消滅し“ゼロ”になっていることに気付いた。サイトの「よくある質問」で確認したところ「Web版」のポイントには有効期限があり、チャージ(購入)から180日経つと失効する仕組みであることがわかった。「アプリ版」では有効期限がなかったので、まさかこのようなことになるとは思わなかった。何とかポイントを取り戻せないだろうか。
(非会員社)
処理内容
定期的な有効期限チェックが必要だった
当該サービスの「Web版」の規約を確認すると、「ポイントの有効期限は、お客様が購入した日から起算して180日目までとします」「お客様は、ポイントの取得履歴及び使用履歴を当社が定める方法により確認することができます」「有効期限を過ぎた未消費のポイントは全て失効します」等の記載があった。
また、相談者がいつも利用している「アプリ版」では、「Web版」のポイントに該当するものは「コイン」という別の名称となっていた。そして有効期限に関するルールも異なり、「ご購入いただいたコインの有効期限はありません。ただし、当社は最終アクセスから1年間以上経過しているアカウントを、あらかじめお客様に通知することなく削除することができます。この場合、未使用分のコインは失効します」との説明があった。
いつも利用していたアプリのコインとはルールが異なっていたため、Web版のポイントにも有効期限がないと誤解したという点は否めないが、これらの規約等により、残念ながら失ったポイントを取り戻すことは不可能であると説明した。なおポイントの未使用残高はログイン後画面にて容易に確認することができる仕組みだが、有効期限については「ポイント履歴」を見る必要があった。これについても相談者の確認不足としか言いようがないと説明し、今後の利用上の注意を促した。
消費者相談室より
消費者はルールを十分に理解したうえで利用を
事業者は「有効期限」「残存ポイント数」の表示をわかりやすく
ポイントには、事業者のサービスとして「お買い上げ額の○%」など利用金額に応じて付与されるもの以外に、今回の事例のようにあらかじめチャージして利用するもの(前払い式手段)があります。いずれの場合でも、消費者は各事業者の「利用規約」や「ポイント規約」に基づいて利用することになります。なお後者の場合は、条件によっては資金決済法による消費者保護策が講じられています。
資金決済法の前払い式手段に該当する場合、発行している未使用残高にもよりますが、180日以上の有効期限がある場合は「供託金」が必要なケースがあります(消費者保護を図るため、発行者が破産した場合に払い戻しを行う)。このため有効期限を「180日以内」と設定しているポイントは多く見られます。
今回の事業者は「Web版のポイント」と「アプリ版のコイン」を明確に分け、前者は180日、後者は有効期限なしと設定していました。そして「資金決済法に基づく表示」においては、供託を行っている旨の表示がありました。
消費者は「ポイント規約」等によりルールを十分に理解したうえで、上手に利用することが大切です。事業者は特に重要な「有効期限」「残存ポイント数」を利用者が容易に確認できるようにするとともに、有効期限が迫っている場合にはメール等で通知をすることで無用なトラブルを避けることができると思います。