返品できないとは思わなかった!─相談事例より─

はじめに
常に相談内容の上位に入るのが「返品」です。今回は「返品不可」の広告表記に関する相談事例を紹介します。
相談事例
返品条件の記載がわかりにくい
大手ショッピングモール内のショップで水着を代金引換で購入した。試着はしていないが明らかに小さかったため、「お客様都合による返品」の規約に従い、送料を負担して送り返した。その後、ショップから「商品の特性上、水着の返品は受けていません。その旨は広告に記載しています。着払いで商品をお戻しするか、当社で処分するか、どちらかを選んでください」との連絡がきた。商品を戻されても着用できないし、返金もされずに処分するのも納得できない。サイズ交換で交渉しているが、当該ショップは一切対応を変えようとしない。
改めて広告を確認したところ、水着が返品できないことは書かれていた。他社では水着でも未着用であれば返品することができたため、返品条件を最後まで確認せずに商品を送り返してしまった。自分にも落ち度はあると思うが、当該ショップの返品条件の記載は非常にわかりにくい。あえて「返品不可」を確認できないようにしているのではないかと思う。
(非会員社)
処理内容
記載方法に改善の余地あるもわかりにくいとまでは言えない
当該ショップのサイトを確認したところ、商品ページとお買い物ガイドの2カ所に返品条件が記載されていた。商品ページには素材やサイズと同じ箇所に「返品・注意事項について」として、「直接肌に触れるという商品の特性上、返品・交換はお受けできません」と書かれていた。また、お買い物ガイドには「返品・交換について」として、「お客様都合による返品の場合は、商品到着日を含む7日以内に、元払いで(お客様のご負担で)ご返送ください」と書かれており、その下に「以下の商品の返品はお受けできません」として、水着が一例として挙げられていた。
両ページに記載されているものの、商品ページには非常に多くの商品情報が記載されており、その中で返品条件が特に強調されているわけでもないため、他の情報に埋没してしまう可能性があった。また、お買い物ガイドには例外条件が基本条件と少し離れた箇所に、別の書体で行間、文字間隔を詰めて記載してあることから、目に触れにくく、基本条件だけ見てしまうと水着でも送料を負担すれば返品できるように読めてしまう可能性もあった。
相談者に上記内容を伝え、記載方法に改善の余地もあると思われるが、わかりにくいとまでは言えない旨を説明した。交換対応ができないとも記載されているため、今回は送料を負担して商品を送り返してもらってはいかがかと伝え、了解された。
消費者相談室より
事業者は消費者目線の広告を消費者は返品条件を十分理解したうえで注文を
今回の事例のように、基本的にはお客様都合の返品を受けている会社でも、商品の特性等の理由から一部の商品(食品・衛生用品等)や商品の状態(通電後の家電製品・組立後の家具等)によって「返品不可」との条件を設けている会社が多く見受けられます。返品条件自体に問題がなく、表示があったとしても、消費者から購入した商品が「返品不可」であるとわかりにくかったと判断された場合は苦情となり、会社のイメージダウンにも繋がります。
今回のショップは、「返品不可」商品のページごとに返品条件を記載していましたが、商品情報が多かったことで、その中に返品条件が埋没してしまい、相談者には気が付いてもらえませんでした。文字の色や大きさを変える、もしくは「カートに入れる」のそばに記載する等すれば、目につきやすかったと思われます。また、お買い物ガイドに関しては、基本の返品条件と例外条件をまとめて表示していれば、相談者も容易に理解できたのではないでしょうか。
事業者は、消費者が返品条件を十分理解したうえで商品を購入することができるよう、改めて自社の広告全体を消費者目線で見直し、トラブル回避につなげていただければと思います。一方、消費者には、各社ごと、商品によっても返品条件が異なることを改めて認識していただき、返品に関係する箇所には全て目を通したうえで注文するという習慣を身につけてほしいと思います。
※紙面の都合及び内容をわかりやすくするため、事例内容の一部を編集している場合があります。