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成年後見人等が選任されていない場合の 「本人の認知症等を理由にした家族からの申し出への対応」
顧客対応

成年後見人等が選任されていない場合の 「本人の認知症等を理由にした家族からの申し出への対応」

成年後見人等が選任されていない場合の 「本人の認知症等を理由にした家族からの申し出への対応」

はじめに

今回は相談の多い「成年後見人等が選任されていない場合の家族からの利用停止等の申し出」に絞り、その手続き方法について考えてみたいと思います。
JADMAニューズ2020年9月/10月号の「本人の死亡による家族からの個人情報削除の申し出への対応」についても参考にされたい。

相談事例

顧客の家族から、「本人は認知症を患っているので、今後本人へのカタログやDMは送らないでほしい。また登録を消去してほしい」といった申し出があった際、「本人の申し出以外は受けられない」と回答したところ、「本人が認知症だから私が代わって連絡してるんだ、なんとかしろ!」と苦情に発展し困っている。成年後見制度について確認できるような状況ではない。

助言

本人の家族からの申し出への対応については、手続きを含め各社の判断(ルール)で行っているのが現状だ。慎重を期す意味で「利用停止申請」の書類と登録者本人との関係を証明する書類の提出を求めるといった方法を案内しているが、申し出者と本人との関係性の証明をどこまで厳格に求めるか等、運用については会社の考え方次第と助言した。

相談室長より

「個人情報保護法」や「意思無能力の訴え」のリスクも踏まえた適切な対応を

「本人の代理としての家族からの申し出(以下、代理としての申し出)への対応」については、個人情報保護法32条以下の規定及びそのガイドライン(「開示請求等に応じる手続」以下、ガイドライン等)を参考にして運用を考えるということになりますが、特に「本人の同意の有無」が重要になります。「成年後見制度」に基づいた場合は別として、「代理としての申し出」において本人の同意を得ていないと家族間、事業者においはて個人情報保護法上の問題が生じる可能性があります。相談室に寄せられる当該事案の「事業者相談」は、「成年後見制度」に基づいた申し出は稀であり、制度以外の申し出がほとんどです。

また、2020年度相談室に寄せられた「消費者相談」について「高齢」や「認知症」に関連する相談を調べたところ96件ありました。そのうち「代理人としての申し出」は22件でした。その内容の多くは「認知症母の注文を止めたい」、「高齢の親が注文した商品を返品できるだろうか」といったものでしたが、「成年後見制度」に基づいた申し出はありませんでした。

そこで、実際に相談が寄せられた会員の事業者を含め12社に「代理人としての申し出」への対応をどのように行っているかヒアリングを行ってみました。その結果、①「申し出について、本人が同意したことがわかる書面(利用停止等)の提出を求め、手続きしている」は3社でした。他の多く(8社)は②「電話等で、代理人であることの確認と、当該申し出について本人に伝えることの了解を得て、申し出を一旦留保し、その後の本人との確認で異義がある場合(追認がない)は、家族で話しあうことを提案し、結論を待つ」といった方法でした。また、申し出を留保したあと、本人から申し込みがあった場合、③「受注データを一定期間“仮”の状態にして対応」の例も1社ありました。

なお、ガイドライン等では開示等の請求を受ける方法について、「定めることができる」という書きぶりです。言い換えれば、事業者自らが定めて行ってくださいと解されます。また、同条4項では手続を定めるに当たっては、「過重な負担を課するものとならないよう配慮しなければならない。」という配慮義務も示されています。

今回ヒアリングの各社は、前述の対応いずれにおいても現状では大きな問題は生じていないとのことです。各事業者においては「個人情報保護法」及び「取消しや意思無能力の無効を理由とする訴え(民法)」のリスクも踏まえ、ヒアリング結果も参考に、適切な方法を検討してもらいたいと思います。