(2/4)1970年代の通信販売

(3)70年代の通販ヒット商品
70年代における通信販売によるヒット商品はいくつかある。中でも、(株)日本ヘルスメーカー(後に(株)ヘルス、現在(株)カタログハウス)の「ルームランナー」は、新聞広告による露出量の多さもあって広く知られた商品であった。
斎藤氏(同社社長)は戦後の通信販売史に登場したヒット商品と次の四類型に分類している。70年代に発売された商品とともに記す。
① 効能効果型
超音波美顔器エレンスパック(78年)
② コレクション型
レコード全集
③ うんちく型
複製絵画(74年)、オーナーロッジテント(79年)
④ 新発見型
圧力鍋(77年)、等身大人形(79年)
(出典…斎藤駿『日本の通信販売』カタログハウス編)
(4)70年代のカタログ
商品を顧客に伝達する手段の一つであるカタログのうち、70年代に発刊された主なものを挙げる。
72年に西武が米国の大手通販会社であるシアーズ社のカタログ通販を開始した。これにより、米国流ゼネラル・カタログが広く知られるところとなった。
74年にフジサンケイリビングサービス社が「ディノス」を創刊した。同社は後述のようにテレビショッピングの先駆者であり、同時に、その購買者にカタログを送付する形式を採用した。
75年に高島屋は従来のDM方式のカタログから、第三種郵便物の認可を受けた「くらしのパスポート」というカタログに移行した。このカタログは雑誌形態を採用しており、百貨店による通販の中では初の本格的なものであった。
味楽会として創業した千趣会は、こけしなどの頒布会事業を行ってきた。これは組織を対象に見本品を用いて販売してきたものである。その後、75年にカタログ事業部ができ翌年「ベルメゾン」が創刊された。
(5)テレビショッピングの開始
60年代までの通信販売は印刷媒体によるものだけであったが、70年代に入り電波媒体が通信販売に利用されるようになった。これは70年代の通販の大きな特徴の一つである。テレビによる通信販売は、71年にフジテレビが「東京ホームジョッキー」という番組の中で商品紹介コーナーとして行ったのが最初といわれている。その後、各局がテレビを利用した通信販売に参入した。テレビ東京が71年、日本テレビ、テレビ朝日が72年に開始した。関西においても、関西テレビが72年に、さらにローカル局においても行われるようになった。これらは、テレビ局が自ら企画等に関与するものであり、その関与程度は番組によって異なっている。それ以外に、各通販業者がテレビ広告として、通信販売を行う場合もある。およそ10年間経過した81年には全国で34局により40番組が放映されていた。テレビによる通信販売の売上高も80年度には550億にのぼると推定されている(工業市場研究所、『カタログ販売・通信販売の実態と展望』)。しかしながら、このように売上を伸ばすこととなった価格訴求の表示に関して、公正取引委員会より要望書が出された。
ラジオについても、73年の文化放送が行った通信販売がはじめといわれ、いくつかの番組が70年代に開始された。