通販の歴史
(4/4)1970年代の通信販売

(10)撤退
70年代に、新しいヒット商品が生まれたり、新しい媒体利用が開始され、通販環境の整備も進み、大きな成長を通販業界はとげてきた。しかしながら、その反面、撤退・倒産もあった。73年に設立された専商は、マス媒体利用の大量の広告と安売りとで急成長をし、77年の売上高ランキングでは通販業界の第一位となった。売上は伸びたものの収益性が悪化したことなどにより、79年に会社更生法の適用申請をするに至った。
またジー・エムも専商と同様な方法で売上を伸ばしていたが、79年に自己破産を申請した。
(11)法的整備
最後に、法律面について記しておく。74年に産業構造審議会より、「マルチ商法・通信販売・訪問販売等の規制の方向について」という答申がだされた。その中で通信販売の問題点として、広告の表示と契約履行の不安定性の二点があげられた。これを受けて、76年に「訪問販売等に関する法律」が制定・施行された。通信販売は同法において法律的に位置づけられた。同法では、通信販売広告に記載すべき事項、申込みの承諾書等の通知が定められている。
さらに、62年に制定された景品法事法が72年に改正された。景品制限、景品価額の算定基準、懸賞による景品制限などに関する通達が出され、現在まで効力をもっている。訪販法と並びこれらは、通信販売広告の表示等を規定することになる。
東洋大学経営学部 教授 長島 広太