広告表現の評価検証(1/2)

はじめに
JADMAの第三者委員会である広告適正化委員会では、通信販売におけるトラブルの防止や広告表現の改善を目的として、2012年度から毎年広告調査を実施している。2023年度は、一般消費者の目線に立ちサンプル調査を実施した。
調査概要
調査対象エリアは、関東およびその周辺エリア7都県とし、人口構成等に応じて調査員の配置を設定した(群馬県1名、埼玉県2名、千葉県7名、東京都13名、神奈川県5名、新潟県3名、長野県1名)。調査期間は、2023年10月2日から同月15日までの2週間とした。調査にあたっては、公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会の協力のもと、消費生活アドバイザー等の資格を有する一般消費者の中から調査員を選定した。
調査では、①調査員本人とその協力者の合計3名1組が調査期間で触れたすべての通信販売に関する広告のうち、②調査員が法令順守や消費者保護の観点から問題ありと考えた広告を10件程度ずつ選定した。その結果、①32名の調査員から合計1044件の広告サンプルを収集し、②調査員が問題ありと考えた広告として341件を選定した。
調査結果
問題があるおそれのある広告を媒体分類別に見ると、「SNS上の広告」が全体の約34%を、「Webサイト上の広告」が約31%を、「新聞広告・雑誌広告」が約19%を、「チラシ」が7%を占めている。「チラシ」や「新聞広告」などの印刷媒体の割合の合計が約26%である一方、「Webサイト上の広告」や「SNS上の広告」、「動画サービス上の広告」などのインターネット媒体の割合の合計が約70%となり、印刷媒体を大きく上回る結果となった。

問題があるおそれのある広告を商品分類別に見ると、「食品・健康食品・医薬品」が全体の37%を、「化粧品・美容器具」が全体の約29%を占めている。具体的には、ダイエット食品や化粧品に関する広告が目立つ結果となった。続いて、「サービス」が約18%を占めており、投資に関する情報サービス、エステ施術、美容クリニック等に加え、片手間に金銭を稼ぐことを訴求する権利購入サービス等に関する広告が見られた。

問題があるおそれのある広告について、問題があると考えた理由を分類別に見てみると、 「誇大な性能・効果効能表現」 を筆頭に、「不明瞭な商品内容」、「あいまいな取引条件」 、 「せん情的な広告内容」 が約30~40%の割合を占めている。「誇大な性能・効果効能表現」については、約54%とほぼ半数を占めている。
特に、健康食品・化粧品分野において、一般的に得られる範囲を超える効果効能や医薬品的な過剰な効果を訴求する等、合理的に考えられる性能や効果を著しく逸脱した表現が目立った。通販事業者には、景表法のみならず、健増法や薬機法等の関連法令についても遵守しているか、表現の確認を求めたい。
また、「不明瞭な商品内容」については約38%を、「あいまいな取引条件」については約36%を占めており、商品・サービスに含まれるものの内容が不明確であるといった指摘のほか、定期購入契約か単品購入契約か分かりにくい、返金・解約の条件が分かりにくい等、定期購入契約の契約条件等に関する指摘が多かった。
また、「せん情的な内容」が約33%を占め、本日受付締め切りまでなどと併記したカウントダウンタイマーや在庫わずか等の焦らせて購入させる表現、ダイエット・美容等の心身の悩みを過度に煽るような行き過ぎた表現が散見された。
『2023年度 通販広告実態調査報告書』は こちらよりご覧ください。