顧客対応

消費者視点を重視した経営を

消費者視点を重視した経営を

今年度も「顧客対応」では「その他の難(不良)顧客対応」の相談が多く寄せられました。2022年2月に厚生労働省が「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を公開して以降、各事業者がカスタマーハラスメントに関しての指針を公表する等、カスタマーハラスメントに対しての社会的関心が高まっています。最近では会員事業者が難(不良)顧客に対して、毅然とした対応を行うという姿勢も見受けられます。

他方、難(不良)顧客の中には、初めから難(不良)顧客だったわけではなく、事業者側の広告内容やオペレーターの対応で、難(不良)顧客へ豹変してしまったケースも見受けられます。顧客の主張も全てが的外れな内容ばかりではありません。特に広告では表示義務のない内容が、消費者が購入決定を左右する重要事項となることもあります。売り手(業界)の常識は消費者の常識、消費者が認識しているのは当然としたことでトラブルになるケースもあります。「広告に玩具の対象年齢表示がなかった。説明書には〇歳未満には与えないようにと表示がある。孫にプレゼントできないので返品したい」「運動器具の説明書にペースメーカー使用者は利用を控える旨表示があった。知っていたら買わなかった」等、広告に表示があれば苦情や難(不良)顧客を生み出すことはなかった可能性も否定できません。苦情の中身を真摯に受けとめ、自社の広告やオペレーターの対応に反映させることが、難(不良)顧客を少しでも減らし、ひいては無用なカスタマーハラスメント事案の削減につながっていくと考えます。

自社の広告やオペレーター対応において、何をどのように消費者に伝えるべきかを重視した、消費者視点での経営を推進していただきたいと思います。

景品表示法に関しては、近年、アフィリエイト広告、ステマ広告等の新たな規制が加わり、さらに以前から問題点が指摘されていたNO.1表示における考え方が示されるなど消費者庁の法執行体制が強化されるとともに、昨年10月から確約制度も導入され、手続き面での整備も着々と進んでいます。行政処分を受けてしまえば各メディアにおいて大きく報道され企業の信用も失墜してしまいます。また、SNSの普及に伴い、規制当局が不当表示の疑いのある広告に関する情報等に容易に接することができる状況にあると聞きます。

こういった表示規制を取り巻く社会の変化を踏まえると、各社において、景品表示法に限らず各種法令を遵守するのは当然のこととして、違反を防ぎ、企業経営において公正な判断、運営がなされるように監視、統治する仕組みを構築することが求められます。景品表示法でも不当表示等の違反を防止するための措置として社内の体制構築、体制整備を行うことが明示されており、この指針も公表されています。これらの重要性について、今一度再認識していただければと思います。

消費者相談室 室長 萩原 典明

調査役 植木 正樹