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(1/4)一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示(いわゆるステマ告示)及び運用基準について
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(1/4)一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示(いわゆるステマ告示)及び運用基準について

(1/4)一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示(いわゆるステマ告示)及び運用基準について

いわゆるステルスマーケティング告示が、2023年3月28日に内閣府の告示として公表された。10月1日の施行を前にJADMAで開催した、消費者庁 表示対策課長の高居良平氏による講演を元に、ステマ告示に関する解説を2号にわたって掲載する。

はじめに

景品表示法における表示の規制は、不当な表示を禁止するために3つの類型の表示を不当表示として禁止している。1つ目が優良誤認と呼ばれているもので、商品やサービスの内容について、実際のものよりも著しく優良であると一般消費者を誤認させるような表示。2つ目が有利誤認と言われているもので、取引条件について、実際のものよりも著しく有利であると一般消費者に誤認されるような表示。3つ目は、その他、誤認されるおそれのある表示を内閣総理大臣が個別に指定するもの。今回、ステルスマーケティングの告示がこの中に加わった。

 ステルスマーケティングを行った上で、かつその表示内容が優良誤認や有利誤認に当たる場合については、既存の規制で対応可能だが、そのどちらにも該当しなかった場合は、今回の告示の前の景品表示法の規制体系の元では対応することができず、いわば空白地帯になっていた。ここを何とかすべきではないかという議論が起き、今回の告示制定に至った。

1 ステルスマーケティング告示の概要

一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示

告示のポイントは2つある。「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示」、つまり広告であることというのが1点目。

 次に、一般消費者が当該表示であること、当該表示というのは要するに広告であること、すなわち一般消費者が広告であることを判別することが困難であると認められるもの、これが2つ目のポイントとなる。つまり、①広告だが、②広告かどうかわかりづらいものを規制するということ。この表示という言葉が具体的に何を対象とするかというと、非常に多岐にわたる(*1)。その商品やサービスについて、何らかのPRや説明をしているものは基本的には表示に当たる。

 一般消費者は、事業者の表示であると認識すれば、表示内容にある程度の誇張・誇大が含まれることはあり得ると考え、商品選択の上でそのことを考慮に入れる一方、事業者の表示にもかかわらず、第三者の表示であると誤認する場合、その表示内容にある程度の誇張・誇大が含まれないと考えることにより、一般消費者の合理的な選択が阻害される可能性がある。できるだけ合理的な判断に資するようにということで規制している。

 ①事業者の広告なのかどうかの判断と、②一般消費者が広告であるかが判別しやすいかどうかという2点がポイントとなり(*2)、法律としては比較的単純な構成になっているが、実務の場では判断が難しいケースもあるだろう。そこで、考え方をできるだけ明確にするために「運用基準」を定めている。

 規制する法律の常で、あらかじめ網羅的に具体的な判断を示すことが難しい。どうしても個別の事案ごとのケースバイケースの判断ということになってしまう。この後、「総合的な判断」というキーワードが度々出てくる。様々な要素を総合的に判断して決めるということで、全然具体的でないと思われてしまうかもしれない。それは仕方がない面はあるが、できるだけ総合的な判断をするにあたっての考え方について紹介する。検討の総合的な判断のプロセスを汲み取っていただけるとありがたい。

*1 「表示」の例
チラシ、パンフレット、パッケージ、ラベル、ディスプレイ、実演、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、ポスター、看板、セールストーク、インターネット上の広告、メール等の表示全般が対象となる。

*2 今回の告示の表示に関する規制対象は、従来の景品表示法と同様に、商品・サービスを供給する事業者(広告主)である。広告主から広告・宣伝の依頼を受けて表示(投稿)を行うインフルエンサーやアフィリエイターは商品・サービスを供給しないので、表示に関する規制対象ではない。

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