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(2/4)一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示(いわゆるステマ告示)及び運用基準について
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(2/4)一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示(いわゆるステマ告示)及び運用基準について

(2/4)一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示(いわゆるステマ告示)及び運用基準について

2 ステルスマーケティング告示の運用基準

2.1「事業者の表示」とは何か

以下、「運用基準」について解説する。

 事業者の表示、いわゆる広告にあたると判断されるのは、事業者がその表示内容の決定に関与したと認められる場合である。事業者が表示内容への関与がなく、第三者の自主的な意思による表示内容と認められる場合については対象ではない。

 この事業者の表示にあたるかの判断の仕方として、事業者が第三者になりすまして行う表示というのが一つ大きな類型として挙げられる。 例えば、たとえ第三者であっても、事業者と一定の関係性を有し、事業者と一体と認められるような従業員や、事業者の子会社等の従業員であれば、その者の表示は、事業者の表示と判断されうる。その判断に当たっては、その表示を行った従業員の事業者の中における地位・立場・権限・業務の内容および表示目的等を踏まえて、総合的に考慮することになる。

 考慮要素の具体例として、販売担当者が商品等の販売促進を目的として表示を行っている場合は、事業者の表示に該当しうる。販売担当者ではない場合であればセーフなのかというと、それ以外の点も考慮して判断する。その商品の販売担当者ではない人が、通常誰でも知り得る情報を用いて、販売促進を目的としない表示を行った場合は、関連性が薄くなる。このような点を考慮して判断していくことになる。

2.2 事業者が第三者をして行わせる表示(事業者の表示となるもの)についての考え方

 いわゆる代理店やアフィリエイター、インフルエンサー等の第三者に表示をしてもらう場合、その事業者が表示内容の決定に関与したかどうかが次のポイントになる。つまり事業者がその表示内容の決定に関与していて、第三者の自主的な意思による表示内容と認められない場合には、事業者が第三者をして行わせる表示が事業者の表示となる。具体的には、①インフルエンサー等に依頼して、SNS上や口コミサイト上等に自社の商品又は役務の表示(投稿)をさせる場合、②ECサイトに出店する事業者が、不正レビューを集めるブローカーや自社商品の購入者に依頼し、自社商品のレビューを表示(投稿)させる場合、③事業者がアフィリエイターに委託して、アフィリエイト広告により自社の商品又は役務について表示させる場合、等のケースが事業者の表示となるものに該当する。

2.3 明示的に依頼・指示していない場合

 明示的に依頼や指示をしていない場合であっても、その事業者と第三者の間のやり取りの内容等、対価の内容、主な提供理由、事業者と第三者の関係性の状況等の実態を踏まえて総合的に考慮し、明示的に依頼や指示はしていないが、事業者が第三者の表示内容の決定に関与したと判断できる場合には、事業者の表示に該当する。

 具体例を挙げると、インフルエンサーを用いて一定のプロモーションを行う際に、無償で商品を提供し、投稿依頼した。その結果、その第三者が事業者の方針に従って、感想等を投稿するといった事実が見られた場合は、インフルエンサー独自の見解を述べたとは言い難い。また、その事業者がインフルエンサー等に対して、経済上の利益をもたらすことを直接伝えた場合は当然関係があるという事になるが、それを言外から推測できるような働きかけをした結果、事業者がインフルエンサー等の表示(投稿)内容の決定に関与している場合も当てはまる。要するに、インフルエンサーの完全な自由意思によるものなのか、事業者側が一定の経済的利益、あるいはその表示の内容について一定の示唆をするなどして、表示内容の決定に関与したと言えるものなのか、個々の断片的な事実から積み上げていき、総合的に判断することになる。

 第三者の表示が事業者の表示とならないものについての考え方および、事業者の表示であることが明瞭でないもの、明瞭であるものについての考え方については、次号に掲載する。

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