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(4/4)一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示(いわゆるステマ告示)及び運用基準について
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(4/4)一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示(いわゆるステマ告示)及び運用基準について

(4/4)一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示(いわゆるステマ告示)及び運用基準について

1.2 媒体事業者が行う表示について

 第三者の行っている表示が事業者の表示とならないものについて、もう一つの類型を紹介する。従来型の新聞や雑誌、あるいはテレビ広告など媒体事業者が行う表示については、媒体事業者の編集権に基づき行っているので、事業者の表示にはならない。これについてもさまざまな形態があるだろう。雑誌等でPR 広告として、特定の企業が自社の商品等を紹介するインタビュー記事等を掲載していることがある。それは事業者側が表示内容の決定二関与しているものなので、そういうものは事業者の表示にあたる。一方、雑誌側が企画を立て、その関係事業者にインタビューして掲載する場合にはあくまでその雑誌の方の企画であり、編集を通じて一定のやり取りはあるにしても、あくまで雑誌側が編集権に基づき行っているという場合については、事業者の表示とはならない。

1.3 告示の「一般消費者が当該表示であることを判別することが困難である」についての考え方

 一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭となっているかどうかを判断する際、その判断にあたっては、特定の文言等から受ける印象・認識ではなく、その表示の内容全体から判断することになる。

 広告であることの記載が全くない場合は、事業者の表示であることが不明瞭であり、告示に該当する可能性がある。

1.4 事業者の表示であることが明瞭でないものについての考え方

 悩ましいのは不明瞭な方だろう。事業者の表示であるということは表示されているが、それが部分的であったり、あるいは冒頭には事業者の表示である旨が書いてあるが、途中から第三者の感想が書いてある、つまり表示全体が広告なのか、途中の部分は広告ではないのかがわかりにくい場合。また、動画の中の一部分のみで広告であるということを示している場合。例えば10分の動画で数秒だけ広告と書いてあっても、それ以外のところを見ている分には広告であるかどうかがわからない可能性が出てくる。

 この点、いわゆる打ち消し表示の規制では、一般消費者が表示であることを認識しにくい文字・場所・大きさ・色等、アピールしたい部分のみ大きく書き、マイナス面は非常に小さく見えにくいところに書いている場合には、優良誤認となる判断をするが、それと同様に、広告であるということを一応書いてはいるが、表示全体を見た中で非常にわかりにくい場合は不明瞭ということで、この告示に触れてくる可能性がある。これはSNSに限定した話だが、ハッシュタグが多く並んでいる中に「広告」等書いてあっても、はっきり広告ということを表しているとはいえない。そういうものが告示の対象になってくる。

1.5 事業者の表示であることが明瞭であるものについての考え方

 最後に、明瞭であるパターン、つまり問題ではないパターンを紹介する。当然ではあるが、「広告」「宣伝」等はっきり書いてあるもの。また、テレビ CM、事業者の協⼒を得て制作される番組や映画等においてスポンサー等の名称等を、エンドロール等を通じて表⽰を⾏う場合。また新聞広告等は、社会通念上、広告と明らかなので問題ない。その他、事業者自身のSNSのアカウントを通じて発信していれば、一般的には広告だと判断されるし、社会的に広告活動を行うことが明らかな立場・職業等(観光大使等)の人物が発信しているのであれば、常識的に広告と判断されるため、広告と書いていなくても問題ない。ただ、社会通念上明らかかどうかというのは、人によって解釈が分かれるところがあるので、慎重に行うことをお勧めする。

 現時点ではこのような告示を定めて運用基準を出したが、デジタル領域の表示というのは非常に進化が早い。1年経つと状況が全く変わることがあるので、運用基準について、社会の動向に合わせて見直しを行うことを考えている。

(了)

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